給与計算を税理士に依頼したい!毎月の手順、メリット・デメリットは?

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給与計算を税理士に依頼したい!手順、メリット・デメリットは?

給与計算を自分でするのがきつくなってきた……
税理士に給与計算をお願いしたら、どこまでやってくれるんだろう?

話題の定額減税などが理由で、給与計算を自分1人で担当するのは厳しいと感じていませんか?

今回は、税理士に給与計算を依頼してみたいあなたのために、以下の内容を解説します。

この記事を読めばわかること
  • 税理士が給与計算でやってくれること
  • 税理士に給与計算をお願いした場合の毎月の手順
  • 税理士に給与計算を依頼するメリット・デメリット
  • 給与計算を社労士に依頼すると、税理士とどう違う?

給与計算を税理士にお願いすることで、プロに任せられて安心できる点もたくさんあります。

代わりに、やってくれないことやすべて希望通りにいかないところもありますので、事前の検討材料としてぜひこの記事をご覧ください。

一度読んでから相談するのと、何も読まずに相談するのとでは、税理士の対応も変わってくると思いますよ!

この記事を書いた人
きくたがわ

きくたがわ

大学卒業→税理士事務所勤務(5年)→残業しない事務員(現在)。
税理士事務所勤めの間に身につけた仕事・お金の知識や、残業しないための事務仕事の知恵を発信中。

目次

税理士が給与計算業務でやってくれること

税理士は給与計算を依頼されると、基本的には以下の業務を行います。

税理士の給与計算業務(基本)
  • タイムカード(出勤簿)の集計
  • 残業・休日出勤分の手当額算出
  • 社会保険料・雇用保険料・住民税・所得税など控除額の算出
  • 総支給額・差引支給額の算出
  • 給与明細の作成

タイムカード(出勤簿)の集計

従業員全員のタイムカード(出勤簿)から、手計算で出勤日数や出勤時間を計算するのは地味に大変ですよね。

勤怠ソフトやエクセルで管理している会社なら心配いりませんが、「出勤簿に時刻を手書き+押印」の会社もまだまだたくさんあります。

そういう場合は、税理士にタイムカード(出勤簿)のコピーを渡すと代わりに集計してくれます。

税理士によっては「集計作業までは自社でやってください」とか「集計作業ぶん報酬上乗せにします」というところもあるので、タイムカード(出勤簿)集計を依頼したい場合は最初に必ず伝えて確認しましょう。

残業、休日出勤分の手当額算出

残業や休日出勤の金額計算は、ややこしいのに間違えると「残業代未払い」になってしまう厄介な作業。

税理士に任せれば、基本給や他の固定の手当額から残業単価・休日出勤単価を算出してくれます。

タイムカード(出勤簿)の集計も任せていれば、こちらが残業だと思っていなかった部分も「これは残業代の対象になる」と教えてくれます。

従業員のために間違いのない給与計算をしたい方は、ここを重点的にしてほしいときちんと伝えましょう。

社会保険料・雇用保険料・住民税・所得税など控除額の算出

社会保険料などの控除額はルールがしっかりありますので、給与ソフトの設定さえ合っていればあまり間違うことはありません。

しかしその給与ソフトの設定が難しく、1度うっかり忘れてしまうとそのまま何か月も間違ったまま……なんてことも大いにあります。

税理士に依頼すればこのあたりのチェックは必ず行われますので、間違ったまま給与計算が続くことはありません。

社会保険等の仕組みをきちんと理解したスタッフが給与計算していますので、給与ソフト側がもしシステムエラーで誤りを起こしていても、ちゃんと気づいてくれます。

総支給額・手取り額の算出

以上の計算をきちんとすれば、おのずと総支給額・手取り額は計算されます。

事業主用に全従業員の勤怠・給与額が一覧になった表を出してくれますので、「今月は誰の残業が多いか」「誰の営業手当が多いか」など一目でわかりますね。

給与明細の作成

税理士に頼めば、給与明細の作成ももちろんしてくれます。

ただし、使っている給与ソフトに準ずるため「封筒型の給与明細がいい」など給与明細の形は選べないことが多いです。

これまでの給与明細と大きく形を変えざるを得ない場合もありますので、資料整理など事前に検討してから希望を伝えましょう。

苦手な作業があれば税理士に頼むべき

ここまでの中で自信のない作業・苦手な作業がある場合は、税理士に給与計算をお願いする価値があります

依頼されるケースで特に多いのは、「残業・休日出勤分の計算に自信がない」「控除する社会保険料や所得税がこれで合っているかわからない」パターンです。

これまで給与ソフト任せにしていて、税務署や労基・年金事務所などの調査が入って「間違っている」と言われちゃんとしなければと思ったというお客様もいらっしゃいました。

そういう方は、やはりプロである税理士等に給与計算を任せることをおすすめします。

基本業務に加えて、付随業務として以下の作業もしてくれる事務所もあります。

税理士の給与計算業務(事務所による)
  • 銀行用振込依頼書の作成
  • 振込処理代行
  • 社会保険手続き書類の作成

この作業は税理士によって対応が違うので、これらもやってほしい場合は対応している税理士事務所を選びましょう。

税理士に給与計算をお願いしたら、毎月何をすればいい?

税理士に給与計算をお願いしたら、毎月の流れは以下の形になることが多いでしょう。

STEP
税理士へ給与計算資料の提供

タイムカード(出勤簿)や勤怠集計結果、給与額などを税理士へ提供します。

STEP
税理士から給与計算結果が届く

提供した情報を元に税理士が給与計算をしてくれます。

各手当の金額、総支給額、社会保険料などの控除額も反映され、各従業員の手取り額まで計算が終わったものが返ってきます。

このときに、社会保険料の料率変更など、これまでと違う箇所があれば教えてくれます。

STEP
結果を見て税理士へ修正箇所を報告

届いた結果を見て「なんでこの人はこんなに残業が多いんだろう?」とか、「今月からつける手当をつけ忘れた!」などに気づくことがあります。

これを再度確認し、修正が必要であれば報告します。

STEP
税理士から修正した計算結果が届く

修正した結果に基づいて再度計算した結果が届きますので、また確認します。

STEP
OKを出すと給与明細や振込書類が届く

計算結果にOKを出せば、給与明細や振込書類など確定した給与で作成される書類が届きます。

振込代行まで依頼していれば、振込作業に進んでくれます。

税理士に給与計算を頼むにはいくらかかる?

税理士に給与計算を依頼する相場は、事務所の規模や地方によって大きく変わるので一概には言えません。

共通して言えるのは、給与計算の対象になる人数と作業量で決まることが多いということです。

給与計算する人数が多ければ、そのぶん報酬も高くなります。

またタイムカード集計から依頼するのか、総支給額までは出した状態で依頼するのかなど、税理士に依頼する作業量が多いほど報酬も上がりますね。

他にも、社会保険をかけている人の人数、会計業務を受けているかどうかで報酬が変わることもあります。

依頼を受けてから数ヶ月給与計算してみて、「あまりにも修正が多い」などの理由で報酬が上がってしまうケースもありますよ!

税理士に給与計算を依頼するメリット

ダブルチェックができてミスが起きにくくなる

税理士に給与計算を依頼すると、必然的にダブルチェックができることになるので計算ミスが起きにくくなります

1人で給与計算をしていると、たまにはどうしても見逃してしまうところが出てきてしまいます。

税理士に依頼すれば、最初の情報提供時に1回、税理士側で1回、返ってきたものに目を通して1回と最低でも3回は誰かの目が通ることになります。

今まで1人でやってきた人にとっては、これだけでもかなり心強いですよね。

最新の情報への対応が早い

税理士に給与計算を依頼すれば、税制や社会保険料など最新の情報への対応をしっかりしてくれます

例えば社会保険料の料率変更などは、年に1回なので自分でやるとチェックするのを忘れがち。

しかし税理士事務所にとっては、料率変更の時期にチェックするのが当たり前なので、見落とさずに変更をかけてくれます。

他にも、定額減税のように新しく登場した制度に税理士はいち早くアンテナを立てているため、心配事があっても相談できるんです。

毎月の作業だけでなく、こういった情報提供をしてくれるのは、プロに頼む強みの1つです。

会計資料として給与情報を提供する必要がなくなる

会計や確定申告を依頼している税理士の場合は、給与資料を提供する必要がなくなるのもメリットの1つです。

毎月の売上資料や領収書・請求書など、税理士にたくさんの資料を渡さなければいけないとなると、「給与の資料だけ渡すのを忘れた……」なんてことも出てきます。

給与計算を依頼していれば、給与支給時期に情報を渡しているのと同じことになりますので、別途会計資料と一緒に用意する必要がありません。

税理士側としても、給与から控除した社会保険料と支払った社会保険料の突合せなど、給与を事前に把握できていると助かる面が多いんです。

年末調整まで依頼できる

税理士に給与計算を依頼すれば、そのまま年末調整もやってくれるケースがほとんどです。

年末調整は税理士の独占業務ですし、税務調査があれば年末調整に誤りがないかどうかもチェックされます。

給与計算を依頼するなら、年末調整もあわせて依頼してしまう方がお互い安心できると思います。

年末調整の報酬が月々の給与計算報酬に含まれているかどうかは、税理士によって異なります。
依頼したい場合は、事前に必ず確認しましょう。

税理士に給与計算を依頼するデメリット

給与計算に日数がかかる

税理士に給与計算を依頼するとなると、前述の通り資料のやり取り・確認待ちの時間が発生します。

よって、どうしても1人で給与計算するよりも日数がかかってしまいます

しかし、税理士事務所の人間も給与計算は遅れられない業務と理解していますので、締め切りに間に合わないことは基本ありません。

依頼する時点で「支給日の○日前までに確定結果が欲しい」など要望をきちんと伝えておくことで、ハラハラしながら待つようなことは回避できるでしょう。

給与ソフトを税理士側に合わせる必要がある

税理士に給与計算を依頼するとなると、給与ソフトを選べない可能性が高いです。

今自社で使っている給与ソフトと税理士が使っている給与ソフトが違う場合、税理士側のソフトに合わせる必要があります。

しかしソフトを新しく買う必要があるわけではなく、

  • これまでと違う形の帳票になってもいいか
  • 給与明細の形が変わるが問題ないか
  • 給与ソフトの情報をいつでも確認できないが問題ないか

ということです。もちろん、税理士側がソフトを買い替えた場合もこのような問題が起こります。

「内容さえきちんとしていれば特にこだわらない」のであれば、特に気にしなくても大丈夫です。

今使っている給与ソフトの「この表示は絶対に必要」といったこだわりポイントがあれば、それに対応してもらえるかどうか確認した方が良いでしょう。

社会保険手続きはしてくれない

給与計算と切っても切り離せない業務の1つに、社会保険の手続きがあります。

しかし社会保険手続きは税理士ではなく社会保険労務士の独占業務なので、税理士ではやってくれない可能性があります。

税理士によってはサービスで書類作成までしてくれるところもありますが、提出は自分たちでしなければなりません。

社会保険の算定基礎届や月額変更届、労働保険の年度更新はどのような取扱いになっているか、事前に確認しておくことをおすすめします。

税理士に支払う報酬が上がる

給与計算を依頼すれば当然、税理士報酬は上がります

人数の多い事業所ほど報酬が上がることが予想されますので、依頼する作業とこちらでする作業のバランスをうまく見極めて、納得できる報酬になるよう交渉しましょう。

会計を依頼している税理士であれば、事業内容や労務状況がある程度予想でき会計との連携も取りやすくなるので、通常より安く給与計算を受けてくれることもあります。

税理士ではなく社会保険労務士に給与計算を依頼するとどうなる?

給与計算の専門家には、税理士以外に社会保険労務士(社労士)もいます。

税理士ではなく社会保険労務士に給与計算を依頼している事業主もたくさんいますので、違いをご紹介しておきたいと思います。

給与計算の毎月の流れは同じ

給与計算を社会保険労務士に依頼した場合と税理士にお願いした場合で、毎月の流れに大きな違いはありません。

資料を提供し、結果が返ってきたらチェックして、OKを出せば給与明細が届く流れです。

社会保険手続きをまとめてお願いできる

社会保険労務士に給与計算を依頼すると、社会保険手続きもまとめてお願いできるメリットがあります。

社会保険労務士は、社会保険手続きの代行を唯一許されている職業です。

算定基礎届、月額変更届、賞与支払届、入退社による資格取得・喪失・離職票などの手続きも社労士がしてくれます。

他にも産育休にかかる社会保険手続きや、出産手当金・傷病手当金など給付金の申請も社労士に依頼できます。

女性が多く産育休が多い職場入退社が多い職場は、税理士よりも社労士に給与計算と社会保険手続きを依頼した方が、手続き漏れの心配が少なく済むでしょう。

労務問題が起こったとき相談できる

社会保険労務士は、社会保険手続きだけでなく労務のプロでもあります。

ですので社労士は、従業員と雇用主の間でトラブルが起こった場合、相談に乗り解決方法を一緒に考えてくれるんです。

たとえば、仕事を全然しない問題社員に悩まされていたり、辞めていった元従業員が労基に駆け込んでしまい対応に困っていたり……といったことに社労士は対応してくれます。

こういう労働問題に関しては、税理士はプロではないので対応できないことがほとんどです。

「給与計算だけでなく、労働環境ごときちんと整備したい」という場合は、税理士よりも社労士に給与計算を依頼する方が良いでしょう。

年末調整は別途税理士に依頼する必要がある

前述の通り、年末調整は税理士の独占業務です。

よって給与計算を社労士に依頼したとしても、年末調整は税理士に別途依頼する必要があります

しかし、中には「自分がやっていない給与計算の年末調整をしたくない」という税理士もいます。
その場合は、税理士の許可を得たうえで、給与計算をしている社労士が年末調整をしていることもあります。

給与計算を社労士にお願いする場合でも、年末調整に関しては顧問税理士の意見を事前に聞いておくようにしましょう。

まとめ:正しい給与計算をすることで、従業員も会社も守れる!

税理士に給与計算を依頼した場合どうなるか、ご理解いただけたでしょうか。

給与計算は専門的な知識が必要な難しい作業なのに、間違えると従業員さんの生活に直結する責任の重い仕事です。

給与計算のミスは、従業員からの不信感にも、会社としての労働基準法違反にもつながってしまいます。

これまで1人で責任を背負ってきたあなたも、これからは税理士と分担してやってみませんか?

今お願いしている税理士がいれば、まず相談してみましょう!

税理士にお願いしていない方は、税理士紹介サービスで給与計算まで受けてくれる税理士を探してみましょう。

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