転職したいけど、仕事しながらの転職活動がなかなか進まない……
退職したいけど、お金のことが心配で辞められない……
今回は、こんな悩みをお持ちの方へ会社を退職するとき・したあとにもらえるお金について解説します。
当面の生活に心配がなくなれば、先に退職してゆっくり転職活動することもできますよね。
すぐには辞められないことがわかっても、最短で辞められる貯金の目標金額を決めることもできます。
退職するときに損をしないために、あるいは生活費をしっかり確保するために、転職を考えている方はぜひ最後までご覧ください。
きくたがわ
大学卒業→税理士事務所勤務(5年)→残業しない事務員(現在)。
税理士事務所勤めの間に身につけた仕事・お金の知識や、残業しないための事務仕事の知恵を発信中。
退職前に考えたいお金のこと①
現時点の貯金で何か月生活できるか
まずは現時点の貯金額を確認しましょう。
これからもらう諸々のお金があるとしても、自分でもともと持っているお金があるに越したことはありません。
今の時点で貯金に1ヶ月分の生活費もない人は、①貯金をしてから辞めるか、②辞めた次の日から就職できるように転職活動するの2択が賢明だと思います。
できれば2ヶ月分の生活費は確保してから辞めたいところですが、後述するお金で賄えそうであれば1ヶ月分の生活費貯金で何とかなるかもしれません。
退職前に考えたいお金のこと②
退職金はいくら出るか
会社の就業規則を確認して、退職金がどの程度出るかを調べましょう。
就業規則で退職金について規定があれば、それを元に退職金をもらう権利を主張できます。
会社で退職金共済に加入してくれていれば、会社からではなく共済から退職金が下りることもあります。
その場合は加入時に共済手帳や証書を会社からもらっているはずなので、「いつから」「いくら」かかっているか分かれば、共済からの退職金も計算できます。
従業員10人以下の会社だと就業規則を作る義務がないため、就業規則がない可能性もあります。
本来就業規則をつくらなければいけない規模の会社でも、経営者が労務に疎くて作っていないケースもあります。
小さな会社ほど退職金が出ない可能性も高いので、がっかりしないためにも最初に退職金を調べることをおすすめします。
退職前に考えたいお金のこと③
有休を消化するか買取りにするか
退職に当たって、残っている有給休暇をどうするかも考えておきましょう。
まず有休日数が何日残っているのか調べ、それをすべて使って辞めるか、買取りにするかを検討します。
有休をすべて消化する場合と、買取りにする場合のメリット・デメリットは以下のとおりです。
- メリット:有休消化中に転職活動ができる、有休消化中は社会保険をかけてもらえる
- デメリット:有休消化中は会社から連絡が来る可能性がある、失業手当の金額が下がる場合がある(後述)
- メリット:給与にプラスαでお金がもらえる、最終出勤日以降会社とやり取りをする義務がない
- デメリット:社会保険をすぐに切り替えなければならない(後述)
私は退職金が出ない会社だったので、残っていた有休をすべて買取りにしました。
それが1ヶ月分の手取りくらいにはなったので、普通の給与と合わせて約2ヶ月分を最後にもらえましたよ。
退職前に考えたいお金のこと④
ボーナスをもらった直後に退職できるか
退職のタイミングとして、ボーナスをもらった直後に退職できるかを考えてみましょう。
またまた就業規則で、ボーナスの査定期間や査定方法を調べてみてください。
「○月~△月在籍した者に支給」とか「業務における成績、勤務態度を考慮し支給」とか書いてあるかと思います。
それが分かれば「査定期間最後の月に退職することにして、ボーナスをしっかり確保する」ということができるのです。
稀に「退職予定者にはボーナスを出さない」とする会社もありますので、その場合はボーナスが支給された瞬間に退職届を出しましょう。
就業規則がなかったりボーナスのことが明記されていない場合は、すでに辞めた人たちから情報収集できるといいですね。
退職前に考えたいお金のこと⑤
失業手当はいくらもらえるか
会社からもらえるお金だけではなく、国からもらえるお金のことも考えておきましょう。
会社で雇用保険をかけてもらっていた場合、条件に合えば退職後に失業手当をもらうことができます。
- 辞める前の2年間に雇用保険をかけていた期間が12ヶ月以上あること
- 失業中で、すぐに働ける状態である(病気、出産育児など働けない理由がない)こと
- 前回失業手当をもらってから12ヶ月以上雇用保険をかけていること
条件に当てはまる人は、退職前に1度失業手当の試算をしてみましょう。ネット上で簡単に試算できるツール もありますよ。
ただし自己都合で退職した場合、ハローワークで失業者登録をしてから失業手当をもらえるまでに最短でも2ヶ月間の給付制限期間があります(2024年5月現在)。
これまで解説した退職金やボーナスで2ヶ月分の生活費を確保できる場合はいいのですが、それらがない場合はあらかじめ貯金するか、在職中に転職活動をして間を空けずに就職することを検討しましょう。
ちなみに失業手当の給付期間が終わる前に就職が決まれば、再就職手当(残りの失業手当の60~70%がもらえる制度)もあります。
私は失業手当を多くするために繁忙期最後の月に退職しました。
再就職手当もしっかりもらいたくて、2ヶ月以内の再就職を目標に頑張りました……!
1点要注意ですが、退職前に次の仕事が決まっていると失業手当をもらうことができません!
失業手当の試算は、転職活動と退職どちらを先にするかを考えるための要素だということをお忘れなきようご注意ください。
退職前に考えたいお金のこと⑥
辞めたあとの社会保険料・住民税はいくらになりそうか
ここではもらうお金ではなく、出ていくお金のことを考えます。
退職したあとは、会社が折半してくれていた社会保険料や、給与から差し引いて納めてくれていた住民税を自分で払わなければいけません。
退職後の社会保険料は、3つの選択肢からいちばんお金を払わずに済むものを選びましょう。
- 家族が入っている社会保険の扶養に入る
- 国民健康保険(国保)と国民年金に切り替える
- 会社の社会保険を任意継続する
いちばんお金を払わずに済むのは、会社で社会保険に入っている家族の扶養になることです。
国保国民年金に切り替えるのと、任意継続するのとでは、どちらが安く済むかは本人の所得や家族の状況に依ります。
詳しくはこちらの記事をご参照ください。
住民税の金額は、毎年5~6月にもらう通知書を確認しましょう。小さな紙なので捨ててしまっている人も多いかもしれません。
通知書には「6月から毎月いくらずつ住民税を天引きするか」が書かれています。
これに載っている、まだ給与から引かれていない分の合計金額が退職後に払う必要のある住民税額です。直近数ヶ月分の給与明細を見て確認しましょう。
しかも住民税は、給与から天引きの場合は毎月天引きなのに、自分で納めるときは3~4ヶ月に1回まとめて納めなければいけません。
毎月じゃないけど1回の納付額が大きいから、結構苦しく感じます……
社会保険料と住民税の存在を忘れていると、「しっかり試算したはずなのになぜかお金がない!」なんてことになりかねませんので要注意です。
【実体験】筆者が退職前に調べた結果と選んだ行動
私は退職前にこれらのお金をすべて試算し、最終的に在職中の転職活動をやめて、先に退職することにしました。
「土日休みの会社」から「土日休みの会社」に転職を希望していたので、在職中の転職活動に厳しさを感じており……
しかしお金のことが心配で、先に辞めても大丈夫かどうか調べ始めたのがそもそものきっかけでした。
- 退職金 → 出ないことが判明(共済に入って間もなかったため支給対象にならなかった)
- 有給休暇 → 生活費の確保と失業手当引き上げのため、すべて買取りを希望。
- ボーナス → 満額支給されることがわかったので支給月での退職届を事前に提出。
- 社会保険 → 国保・国民年金の方が安かったのでそちらに切り替え。国民年金は猶予申請し再就職後に追納
退職金が出ないとわかったときは正直へこみましたが、有休とボーナスで収入をプラスでき、社会保険料と住民税を払ってもまだ残ることがわかったので安心して先に辞めることができました。
2ヶ月経って失業手当をもらえればまだ食いつなげるし、もし2ヶ月以内に就職が決まれば再就職手当も満額もらえて、何ならそのまま貯金にできるかもと思ったのです(笑)
ここまで調べれば、後から損に気づいて後悔することもないと思います。
お金の面が心配で退職に踏み切れない方は、よければ参考にしてみてください。
まとめ:事前にしっかり試算して退職・転職活動に備えよう
退職前はお金だけじゃなく、人間関係や引き継ぎなど不安なことが多いと思います。
せめてお金のことはしっかり準備し、自分や家族の生活を確保したうえで退職に挑みましょう!
コメント