現在事務職に転職をお考えの方は、「事務職はAIに仕事を奪われるから将来性がない」という心配を少なからず抱えていると思います。
しかし今のところですが、私は事務がAIに仕事を完全に奪われる未来は見えていません。
この10~20年で事務職はAIに置き換わるという話もありますが、私はとりあえず今30代の自分が70代になるくらいまでは事務職は無くならないと予想しています。
今回は、「事務がAIに奪われない」と思っている理由を、現役事務員の目線でお伝えします。
都会でバリバリ働いている方々から見たら呑気に見えるかもしれませんが、良ければ地方の一事務員の意見もご覧いただければと思います。
きくたがわ
大学卒業→税理士事務所勤務(5年)→残業しない事務員(現在)。
税理士事務所勤めの間に身につけた仕事・お金の知識や、残業しないための事務仕事の知恵を発信中。
事務がなくならないと思う理由①
AIの精度はまだそこまで高くない
事務がAIに奪われないと思う理由1つ目は、AIの精度がまだそこまで高くなっていないことです。
AIが作った文書やイラストがすごいと連日話題になっていますが、事務の仕事で重要なのは「決められた枠に誰かが望む通りの正しい内容を記載すること」です。
確かに、よくある一般的な型どおりに間違いなく入力作成することは、AIが最も得意なところだと思います。
しかし何事にも例外があるのが事務仕事。ポピュラーな型には当てはまらず異なる処理をしなければならないことはいつだって存在します。
このように、ソフトやAIがいつもと同じと判定したところを、「いつもと違う」と正しい形に修正するのは人間です。
こういった細かいところの精度が上がらない限り、事務職の人間は必要だと思うのです。
他にも、領収書やレシートをスキャンすると仕訳にしてくれるようなサービスも出てきていますよね。
しかし今のところ「仕訳1本につき10円」など、経理をしている人間から見たら高すぎる金額での提供が多いように思います。
そういったサービスを利用するくらいなら、今はまだスキルのある人間が入力した方が速いし安いという状態です。
AIがどんなケースでも間違いなく(格安で)処理できる未来は、まだ先のように思えるのです。
事務がなくならないと思う理由②
地方ほどAIどころかデジタル化が遅い
事務がAIに奪われないと思う理由2つ目は、地方ではAIどころかデジタル化が追いついていないことです。
都会にお勤めの方はびっくりするかもしれませんが、地方には未だに電話とFAXで仕事をしている会社なんていくらでもあります。
パソコンが1台もない会社はほとんどないとは思いますが、めったに使わないからほぼ起動しないというところもまだまだあります。
そういう会社はすぐに淘汰されると思うかもしれませんが、これが地元では有名な歴史の古い会社だったりするんですよね。
そういう会社が方向転換してAIを導入しようとしても、うまく運用できるようになるまではきっと膨大な時間がかかるでしょう。
やはり途中にパソコンをしっかり使いこなす段階や、そもそもの規定ルートをつくる段階が必要になると思います。
これまで歴史の中でデジタル化が進んできたスピードよりは急ピッチで進めざるを得ないかもしれませんが、それでも10~20年でAIを使いこなすところまで追いつけるとは思えないのです。
事務がなくならないと思う理由③
結局AIをうまく使う人間が必要
事務がAIに奪われないと思う理由3つ目は、結局AIをうまく使いこなす人間が必要になるということです。
これは、AIが今よりも仕事に浸透した場合のことを考えてのことです。
税理士事務所勤めや経理経験が長い方にお話を聞くと、すべて手書きだった時代に会計ソフトや給与計算ソフト、申告書作成ソフトが出てきたときは相当驚いたとのこと。
しかしそれらに仕事を奪われたわけではなく、結局それを正しく扱える人間が必要で、作業するのが「正確に書ける人間」から「正確に入力し操作できる人間」に代わっただけでした。
私は、AIも同様のことが起こると思っています。
入力や資料作成はAIが正確にやってくれるかもしれませんが、そのAIに最初の数例を覚えさせる人が必要です。
上記のように、誤りを修正し教え込んだり、AIの作業を最終的にチェックし判断する人間が必要です。
今の事務員の「正確に入力する」作業は確かになくなるかもしれませんが、「正確にチェックする」作業はなくならないと思います。
そして、(まだ具体的な内容は想像できませんが)新たにAIを使いこなすスキルが登場すると思うのです。
こうしてみると、AIに置き換えられる事務の仕事は、ほんの一部でしかないように見えます。
よって、仕事の内容がスライドしていくとは思いますが、事務職がこの10~20年でなくなるとはまだ思えないのです。
まとめ
AIに置き換えられる仕事としていつも上位にいる事務ですが、現役事務員の実感としてはこんな感じです。
もちろんお住まいの地域や業種によって状況はさまざまかと思いますので、「こう思っている人もいる」くらいに受け止めていただけたらと思います。
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