FP(ファイナンシャル・プランナー)は人気資格ですが、「何ができる資格なのかイマイチよくわからない」という声も多くあります。
時には「特に役に立たない資格」という意見すら見かけますね。
しかし、少なくとも税理士事務所の職員がFPを持っていて役に立たないということは絶対にありません!
今回は、FP(ファイナンシャル・プランナー)を税理士事務所の職員が取得すべき理由をご紹介します。
税理士事務所の職員がFPを取るべき理由
- 6分野すべてが仕事に関連する …… 基礎知識が増えてできる仕事が増える!
- 経営者の不安に寄り添える …… お客様からの信頼が厚くなり社内評価も高まる!
- 資格手当を狙える …… 給料アップで仕事へのモチベーションもさらにアップ!
きくたがわ
大学卒業→税理士事務所勤務(5年)→残業しない事務員(現在)。
税理士事務所勤めの間に身につけた仕事・お金の知識や、残業しないための事務仕事の知恵を発信中。
FP(ファイナンシャル・プランナー)とは?
FP(ファイナンシャル・プランナー)とは、ファイナンシャル・プランニングの専門家です。
人生の夢や目標をかなえるために総合的な資金計画を立て、経済的な側面から実現に導く方法を「ファイナンシャル・プランニング」といいます。
ファイナンシャル・プランニングには、家計にかかわる金融、税制、不動産、住宅ローン、保険、教育資金、年金制度など幅広い知識が必要になります。
ファイナンシャル・プランナーとは|日本FP協会
つまりFP(ファイナンシャル・プランナー)とは、人の生活に関わる幅広いお金の知識を身につけ、生きる上での資金計画や経済的側面からの実現案を作ることができる人ということです。
資格試験としての正式名称はFP(ファイナンシャル・プランニング)技能検定であり、FP技能検定に合格した人のことをFP(ファイナンシャル・プランニング)技能士と呼びます。
FP技能検定は1~3級がありますので、合格した級によって「○級ファイナンシャル・プランニング技能士」を名乗ることができます。
私は税理士事務所で働きながら「2級ファイナンシャル・プランニング技能士」を取りました!
税理士事務所職員がFPを取得するメリット
ここからは、税理士事務所の職員がFP技能士資格を取得するメリットを3つご紹介します。
6分野すべてが仕事に関連する
FP技能検定の学科試験では、以下の6つの分野から均等に出題されます。
- ライフプランニングと資金計画
- リスク管理
- 金融資産運用
- タックスプランニング
- 不動産
- 相続・事業承継
この6分野がすべて、税理士事務所での仕事に直接関連しているのです。
どういうことか解説するため、主な出題内容を追記します。
- ライフプランニングと資金計画 → 社会保険や年金制度など
- リスク管理 → 生命保険や火災保険など
- 金融資産運用 → 投資、金融商品など
- タックスプランニング → 所得税、法人税など
- 不動産 → 不動産にかかる売買、賃借、規制など
- 相続・事業承継 → 贈与、相続など
これらの内容は、関連度の強さに差はありますが会計の仕事をしていると必ず出てくる内容です。
そのため基礎知識をあらかじめ入れておいた方が、出てきたときに初めて調べ始めるよりも効率的に仕事を進められるということになります。
税理士事務所での仕事に関連している度合いが強い順に解説していきましょう。
D.タックスプランニング
D.タックスプランニングは、税理士事務所で働く人間にとっては役に立つというよりも得点源です。
日頃業務でやっていることがそのまま出題されます。新たに勉強することは、よっぽどの初任者でない限り多くはないでしょう。
B.リスク管理
B.リスク管理は、生命保険や火災保険などの保険商品の知識を問われる分野です。
お客様の会社でも、従業員や役員の急なケガ・病気・死亡などに備えて民間の保険に入っているところも多いでしょう。それらの経理的取り扱いや、保障の内容を詳しく理解できる分野です。
税理士の先生でも、保険の税務的取り扱いについては苦手な先生も多いので、ここを理解できると大きな強みになります。
A.ライフプランニングと資金計画
A.ライフプランニングと資金計画は、社会保険や公的年金・企業年金などの年金制度等を問われます。
お客様の会社の役員や従業員さんが困っているとき、利用できる社会保障や制度を知っていれば案内することができます。
また、年金をもらう年齢付近の役員が在籍する会社では、年金と役員報酬の関係で一度は悩むもの。
そういった悩みの意味を理解し、会社の経営だけでなくその中の一個人に寄り添ってアドバイスできるようになるのがこの分野です。
E.不動産 F.相続・事業承継
E.不動産と、F.相続・事業承継は、不動産・贈与・相続の基礎知識を問われます。
普段の業務というより、スポット的にある贈与や相続、株式の評価といった業務に役に立ちます。
贈与・相続や株評価は、専門の税理士を置いて「無資格の職員には任せない」という事務所もありますが、窓口職員として基礎的な知識があるだけでも、お客様の話を理解できる度合いが違います。
急にお客様から贈与や相続の話があっても対応できるので、しっかり勉強しておくとお客様からの信頼度が上がりますよ。
C.金融資産運用
C.金融資産運用は、株式・債券・投資信託などの投資関連知識を問われるものです。
小規模な税理士事務所の業務としてはいちばん関連が薄い内容ですが、投資家目線での企業評価の見方などがわかるようになります。
投資有価証券を持つ会社や、上場を視野に入れている会社を担当に持っている場合は役に立つでしょう。
1つ1つの分野をそれぞれ勉強するのは大変ですが、FPの勉強をするだけですべての分野の基礎を理解できますよ!
経営者の不安に寄り添える
税理士事務所で税理士補助として働いていると、お客様の会社の社長など、経営に直接携わっている人と話す機会が多くありますよね。
FPの知識を持っていると、そういった経営者の方たちの不安に寄り添えるようになります。
どんなに小さな会社でも、社長というだけでありとあらゆることに責任を抱えています。
お客様であり社長なので忘れがちですが、社長も一人の人間です。重い責任を持っての今後の人生、多かれ少なかれ常に不安に思っています。
そんなときに、毎月来る税理士事務所の担当者が話をわかってくれたら、嬉しくなっていろいろ相談したくなってしまうと思いませんか?
何もわからないまま話を聞くだけで良い場合もありますが……
こちらが少し情報を持っているだけでも相手からの信頼度は大きく変わりますよね。
たとえば、前述した年金と役員報酬の問題や贈与・相続は会社の経営をしている限りいつかは考えなければならないことです。
FP資格を持っていれば、お客様がそういったことを考えたいと思ったときに的確に対応できるのです。
お客様だけでなく、税理士事務所側もこのような対応ができる職員を重宝します。
ただ経営者の話を聞いて戻ってきて税理士に伝える職員よりも、ここまで踏み込んだ相談を受けて対応できる職員を大事にしたくなるのは当然のこと。
お客様にも信頼され、会社からの評価が上がるとなれば、FPの勉強をしない理由はありませんよね。
資格手当を狙える
ここからはさらに、お客様ではなく自分に目線を向けた話です。
FP、特に2級以上を持っていれば資格手当が出る事務所も少なくありません。
ここまで説明したように、FPはお客様からの信頼を得られるお金の知識を広く持っています。
FPを持っていない他の職員とは一線を画していることは、言うまでもありません。
自分でできる仕事を増やし収入も増やせたら、税理士事務所での仕事はもっと面白くなること間違いなしです。
モチベーションを上げてできるだけ楽しく仕事をしたいなら、ぜひFPの勉強をして基礎知識を身につけましょう。
給料は上がるのを待つのではなく、自分で上げに行くものです!
FP技能検定は2種類あるので要注意!
ここまで読んでFPを取りたいと思った方へ、注意事項です。
FP技能検定は、実施団体が日本FP協会・一般社団法人金融財政事情研究会(通称:きんざい)の2つがあります。
どちらを受けてももらえる資格(FP技能士)は同じですが、申し込み先・試験会場・実技試験で選択できる科目が異なります。
特に実技試験で選択できる科目は、下記の表の通り大きく異なるので要注意です!
3級ならどの実技科目を選択しても大差ありません。興味のあるものを選ぶのが良いと思います。
2級は先ほども紹介したとおり、税理士事務所の職員なら中小事業主資産相談業務をおすすめします!
中小事業主資産相談業務は金融財政事情研究会(きんざい)でのみ実施であることに加え、年3回ある試験のうち9月と1月の試験でのみ受けられます。
日本FP協会や5月の試験では受けられませんので、注意してくださいね。
3級と2級なら、試験日程と受験料はFP協会・きんざいどちらも同じです。
まとめ
いかがでしたか?
FPの資格が、税理士事務所の仕事でどう役に立つかをご紹介してきました。
税理士補助など税理士事務所の職員としてスキルアップを狙いたい方は、ぜひチャレンジしてみてください。
税理士事務所の職員がFPを取るべき理由
- 6分野すべてが仕事に関連する …… 基礎知識が増えてできる仕事が増える!
- 経営者の不安に寄り添える …… お客様からの信頼が厚くなり社内評価も高まる!
- 資格手当を狙える …… 給料アップで仕事へのモチベーションもさらにアップ!
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