ハローワークの求人はブラックしかないんでしょ?
ネットでは「ハローワークの求人はブラック」とよく目にします。
しかしこの話は本当なのでしょうか?
本記事では、ハローワークの求人について以下の内容を解説していきます。
- ハローワークの求人はブラックしかないと思われがちな理由
- ハローワークでしか見つけられない求人とは
- ハローワークの求人でブラック・ホワイトを見極めるコツ
- ハローワーク求人の上手な使い方
私自身ハローワークを利用しての転職活動を2回しており、前職でも現職でもハローワークで求人を出し採用している事業主さんたちの話もたくさん聞いてきています。
採用する側・される側両方の立場での経験をふまえて解説していきますので、ハローワークでの転職活動に不安がある人はぜひ読んでみてください。
ハローワークの求人はブラックしかないと思われがち
「ハローワークの求人にはブラックしかない」というのは嘘です。ちゃんとホワイトな会社も求人を出しています。
しかし転職エージェントなどと比較すると、ハローワークの求人はブラックな会社が目につきやすいのも事実。
なぜブラックな会社が目立ってしまうのか、以下の2つの理由があげられます。
理由① 求人を出すハードルが低いから
ハローワークに求人を掲載するハードルは、転職エージェントに比べるとかなり低いです。
ハローワークの求人は、
- 掲載料が無料
- 労働基準法を最低限守っていれば求人を掲載できる
- 求人掲載を断られることが基本的にない
という特徴がありますので、採用にお金をかけられない会社や最低賃金で人を雇いたい会社も求人を出せるのです。
求人の掲載審査でチェックされる項目としては「最低賃金を割っていないか」「社会保険・雇用保険の加入事業所か」「就業規則や36協定の有無に偽りはないか」など。
最低限を守っていれば求人を出せるので、できるだけ他よりも良い条件を出そうとする転職エージェントの求人より条件が悪く見えてしまうのは、仕方ないことかもしれませんね。
理由② ホワイト企業はすぐに募集を取り下げるから
ハローワークにはホワイトな企業・条件での求人もありますが、ホワイトな求人はすぐに応募が殺到し採用が決まり、すぐに取り下げられてしまいます。
そのため、良い条件の求人を目にする機会は必然的に少なくなってしまうのです。
実際に私も年間休日120日・土日祝休み・給与が相場よりも良い求人が掲載された当日にハローワークに行き、紹介状の発行をお願いしたことがあります。
職員さんに聞いたところ、その時点ですでに10人以上に紹介状を発行したと言っていました……
ハローワークに掲載される求人は、4月入社や10月入社などの入社時期の決まった採用よりも、臨時的なすぐにでも人を雇いたい求人の方が圧倒的に多いです。
いい人が見つかればすぐに求人を取り下げてしまうので、人気の条件で出している求人はすぐになくなってしまい、条件面で不利な求人ばかり残ってしまうのが現状なのです。
ハローワークでないと見つけられない求人もある
しかし、ハローワークでなければ見つけられない求人も存在します。
そういった求人の中に、ホワイトな会社や自分の希望に合う会社がある可能性ももちろんありますよね。
では、転職エージェントには載っていないがハローワークには載っている求人とはどんなものがあるのでしょうか。
地方・職種によってはハローワークでしか見つからない
希望する就職地や職種によっては、ハローワークの求人のほうが選択肢が多くなるケースも大いにあります。
都市部から離れた地方になるほど、転職エージェントよりもハローワークの方が圧倒的に求人数が多くなります。
これは転職エージェントに頼らなくても、ハローワークの求人で十分応募が集まるからです。
私の場合地元の会社で事務を希望していましたが、田舎過ぎて転職エージェントに事務の求人はほぼありませんでした……。
ただし地方だからといって転職エージェントの求人がゼロなわけではなく、建設業・保険代理店・ホテル業などの求人はたくさん載っていました。
よって希望する地方と職種のかけあわせ次第では、ハローワーク求人のほうが選択肢が多くなるということです。
転職エージェントの求人で希望に合うところが見つからない……と思ったら、まずハローワークの求人も検索してみましょう。
中途採用しかしていない会社
新卒の採用をせず中途採用しかしていない会社は、まずはハローワークで求人を出して募集をすることが多いです。
(特に大卒の)新卒採用をしている会社は、ほとんどがマイナビやリクナビなど大手の就活サイトに登録していますよね。
新卒採用で大手就活サイトを利用できる会社は、当然中途採用でも転職エージェントを利用します。
逆に言えば、新卒採用をしておらず有料の就活サイトなどで募集することに慣れていない会社は、転職エージェントで人を募集するのに勇気が要ると思いませんか?
よってハローワークでは、新卒の就活でも転職エージェントでも見かけなかった求人を見つけられることがあるのです。
採用にお金をかけず、社員の給料に回したい会社
レアではありますが、採用にお金をかけられないのではなく、採用にお金をかけたくない会社もあります。
事業主目線でいえば、お金をかけてもかけなくても、正直良い人材が来てくれるかどうかは運次第。
ならば「転職エージェントに何十万~何百万のお金をかけるよりも、従業員の給与や賞与に回してあげたい」と思う事業主も世の中にはいるのです。
こういう考え方ができる会社は、ある意味いちばんホワイトかもしれません。
求人票だけでこういう考えを持っている会社かどうか判断するのは難しいと思いますが、ハローワーク求人の中にはこんな会社もあることをぜひ忘れないでくださいね。
ハローワーク求人からブラック・ホワイトを見極めるコツ
ここからは、ハローワークにある求人からブラックな求人・ホワイトな求人を見極めるコツを7つご紹介します。
ハローワークの求人票は情報量が少なく、相談に行っても追加で得られる情報は限られています。
ここで紹介するポイントを必ずチェックして、良い求人を見極めましょう。
コツ① 普段からハローワークの求人を見ておく
転職を少しでも考えているうちから、ハローワークの求人を見ておくとそれだけでも情報になります。
仕事を辞めてからハローワークの求人を初めて見ると、どれが良い求人でどれが危ない求人か判断しにくいもの。
日常的にハローワークの求人を見ていれば、
- ついこの前も求人を出していたのにまた欠員で募集している
- 前は給料○○円だったが、今回は△△円で出している
など意外と気づく情報があります。
少なくとも、頻繁に人を募集しているような危ない求人に引っかかることはなくなりますよね。
このために、できれば在職中からハローワークの求人は見ておきましょう。
コツ② 新しい求人をチェックする
ハローワークの求人には、受付日と紹介期限日が載っています。この受付日ができるだけ新しい求人からチェックしましょう。
先ほども書いた通り、良い求人はすぐさま採用が決まり取り下げられていきます。
よって長く載っている求人ほど応募者が少なく、魅力を感じている人が少ないということでもあります。
ちなみに受付日から翌々月の月末が紹介期限日になっているので、紹介期限日に近いほど長く載りっぱなしということがわかりますね。
検索するときはあまりさかのぼり過ぎずに、適度なところまでチェックするようにしましょう。
「自分の希望条件には合っている求人だけど、紹介期限日に近い求人だから心配……」という場合は、ハローワークで何で応募者が少ないか聞いてみましょう。
応募条件が厳しいなど、意外な見落としがあるかもしれません。
コツ③ 他の職種の求人が出ていないか確認する
同じ会社で他の職種でも求人が出ていないかどうかも、要チェックポイントです。
今はかなり少なくなりましたが、以前は「人気の職種で募集をかけて採用し、人気のない職種へ異動させる」というのがブラック企業の常套手段でした。
そこまでの悪気がない会社でも、どうしても人手が足りなくて別の仕事もお願いせざるを得ない状況になってしまう会社もあります。
よって、他の職種でも求人が出ている=そっちに勧誘される可能性もあることを念頭に置いておきましょう。
2024年4月から、採用後に職種や就業場所の変更可能性がある場合は求人票・労働条件通知書ともに明記しなければならないという新しいルールができました。
他の職種の求人が出ていても、変更可能性なしになっていれば安心材料になりますね。
求人票と実際の労働条件が違ったら相談できる窓口もあるので、じっくり情報を読み込んで応募を決めよう!
コツ④ 会社名で検索してホームページや新聞記事を見る
会社名での検索は、情報集めのためにかならずやっておきたいことの1つです。
その会社のホームページを確認するのはもちろん、ネットニュースや新聞記事に名前が出ていればどんな内容か確認できますよね。
載っているのが良い内容にしろ悪い内容にしろ、社風を理解する情報の1つになります。
検索しても何も出てこない会社もあると思いますが、何件か検索しているうちに「何も出てこない」ことが良いことか悪いことか、自分にとってどっちなのかを判断できるようになると思います。
ホームページすらない会社は嫌だ!と思う人もいますよね。
しかし小さな会社なのに頻繁にホームページを更新していたら、ホームページ更新の仕事が自分にも回ってくるかもしれませんよね……?
だったらホームページのない会社の方がいい、と思う人もいるでしょう。
コツ⑤ SNSや5ちゃんねるも意外と役に立つ
SNSや5ちゃんねるなど、誰でも雑多に書き込める場所での情報も意外と役に立ちます。
SNSで会社名を検索してみれば、企業アカウントはもちろん、一般の人が社名を出して投稿している場合もあります。
それをもとに会社の雰囲気や、周りからのイメージを知ることができますよね。
5ちゃんねるの転職板や地方板は、SNSより匿名性が高く主に悪い情報が書かれていることが多いので、明らかなブラック避けに役に立ちます。
この令和の時代、実名(もしくはわかりやすい伏字)を出して悪いことを書かれている=相当ブラックだと予想できます。
気になる会社があったらインターネット検索だけでなく、SNSなどでの検索も1度はしてみましょう。
コツ⑥ 求人掲載履歴を聞く
ここからは、気になる求人についてハローワークに相談に行くときのことを想定しています。
ハローワークの相談窓口では、その事業所の求人掲載履歴を聞いてみましょう。
コツ①で紹介したように、しょっちゅう載っている求人なのか事前に自力で把握できていれば良いですが、タイミングによって気づかないこともありますよね。
前に出ている求人がいつ頃の募集だったのか、同じ職種・同じ条件だったのか、結果何人採用されたのかなどは聞けば教えてくれます。
同じ職種の募集がずいぶん前で、今回欠員で募集が出ているとすれば、長く勤めやすいと考えられるかもしれません。
コツ⑦ 既に応募している人数を聞く
ハローワークの相談窓口では、その求人にすでに何人の応募があるかも聞いておきましょう。
人気の求人は本当に掲載されたその日のうちに十数人に紹介状が発行され、2~3日中に取り下げられてしまいます。
つまり人気度が高い=ホワイトである可能性も高くなるので、かならず確認すべき事項ともいえますね。
ハローワーク求人の上手な使い方
ハローワークのみで転職活動をするのは、これまで書いてきた通り結構大変なこと。
可能な限り転職エージェントも並行して使い、希望の仕事を見つけるのが理想です。
ここからは転職エージェントとの使い分けとして、ハローワークのどんな点をうまく利用したら良いかをご紹介します。
情報収集をして譲れない条件を絞る
ハローワークの求人から大量の情報収集をすることで、自分が転職において譲れない条件が何なのかが見えてきます。
ハローワークの強みは、何と言っても大量の求人があること。求人票の内容も一律なので、たくさんの求人を比較して情報収集しやすいのが利点です。
何の前情報もないまま希望の条件をまとめるのって、実は難しいですよね。
実際の求人が目の前にいくつもあれば、比較して「なぜこっちの求人の方がいいのか」を掘り下げていくことで希望を明確にできます。
実際に応募する前の段階からも、ハローワークの求人を積極的に活用していきましょう。
失業手当の実績づくりに利用する
ハローワークの大事な機能として、失業手当の給付があります。
仕事を辞めてから転職活動をしている場合、失業手当の給付を受けるために決められた回数以上の就職活動実績が必要です。
ハローワークの求人以外に応募してももちろん実績にはなりますが、どうせハローワークに出向くならついでに求人を見て相談していくのも大差ありませんよね。
前述の通りハローワークでしか見つけられない求人もありますので、失業手当の実績づくりにハローワークの求人はどんどん活用すべきです。
親身な相談は期待しない
ハローワークの相談員さんはほぼ公務員なので、親身に就職相談に乗ってくれる人は多くありません。
固定の担当者がつくこともないので、自分の状況や希望を深く相談できる状況にはならないのです。
しかしこれはハローワークの仕組み上仕方のないこと。彼らは転職経験のない人がほとんどですし、5時までに仕事を終わらせなければいけない立場なのです。
よってハローワークの窓口では、前述のように「求人掲載履歴と応募者人数だけ聞く」などと話すことを決めておくと良いでしょう。
自分の状況や希望をじっくり相談したい場合は、個別に担当がついてくれるタイプの転職エージェントを利用するのがおすすめです。
まとめ
ハローワークの求人はブラックしかないわけではなく、正確にはホワイトの求人を探すのにコツがいるといった方が正しいでしょう。
もしくは、絶対的なブラックかホワイトかだけで判断するのではなく「何が自分にとってホワイトか」を条件づけるのも大事な要素になってきます。
どうかイメージや噂だけで「ハローワークの求人はブラック」と決めつけずに、一度求人を見てみてください。
意外とあなたに合う求人もあるかもしれませんし、転職エージェントとどっちで転職活動するのが向いているか見えてくると思いますよ。
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