税理士事務所の事務員はきつい?資格なし税理士補助が解説します

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税理士事務所の事務員はきつい?資格なし税理士補助が解説します

「税理士事務所」というとどんなイメージがありますか?

「何をしてるかよくわからない」「難しそう」と言われることが多いのですが、検索してよく出てくるのは「きつい」というキーワード。

今回は、税理士事務所の中にいる税理士資格を持っていない事務員、つまり税理士補助の仕事について詳しくご紹介します。

この記事は、以下のような疑問を持つ方向けに解説します。

こんな人に読んでほしい
  • 税理士事務所での仕事内容を知りたい
  • 税理士補助は未経験でもできるの?
  • 税理士を目指していない税理士補助者の話を聞きたい

税理士を目指す方もそうでない方も、税理士事務所がどんなところか知りたい方はぜひ読んでみてください!

この記事を書いた人
きくたがわ

きくたがわ

大学卒業→税理士事務所勤務(5年)→残業しない事務員(現在)。
税理士事務所勤めの間に身につけた仕事・お金の知識や、残業しないための事務仕事の知恵を発信中。

目次

きついって本当?税理士事務所での仕事内容

税理士事務所がきついと言われる理由の1つは、その仕事内容です。

きついと思う人は主に、「繁忙期の忙しさ」と「仕事の専門性の高さ」にきつさを感じています

感じ方に個人差はありますし、事務所によっても差が大きいので「どこもきつい」とは言い切れません。

しかしどこの税理士事務所でも、やっている仕事内容はほぼ同じです。

まずは税理士事務所の年間スケジュールと、仕事内容をご紹介します。

税理士事務所の年間スケジュール

税理士事務所の仕事は、基本的に1年単位で見られることが多いです。

     通常業務臨時業務
1月月次監査、給与計算、11月決算年末調整・給与支払報告書提出
法定調書合計表提出・償却資産申告書提出
2月    〃12月決算確定申告
3月    〃1月決算確定申告
4月    〃2月決算
5月    〃3月決算
6月    〃4月決算
7月    〃5月決算源泉所得税(納期特例)
8月    〃6月決算
9月    〃7月決算
10月    〃8月決算
11月    〃9月決算年末調整
12月    〃10月決算年末調整

税理士事務所の年間スケジュールはこんな感じ。赤字やや忙しい時期赤い太い字超忙しい時期です。

税理士事務所は11・12月頃から忙しくなり始め、次の年の5月まで繁忙期が続きます。

1年のうちほぼ半分が繁忙期という、ちょっと珍しい業種なんですね。ここにきつさを感じる人も多いようです。

業務内容に聞きなれない言葉も多いかと思うので、次の項目で詳しく解説します。

税理士事務所の業務内容

税理士事務所の業務は、一言でいえばお客様である会社や個人事業主が正しく納税できるよう会計・経理面をサポートすることです。

ここからは、税理士事務所では具体的にどんな業務をしているか解説していきます。

月次監査

毎月の財務をお客様が正しく把握できるよう、1ヶ月分の取引内容を会計ソフトに仕訳を入力したり、入力された仕訳に誤りがないかチェックする業務です。

お客様から経費領収書や売上表、請求書などの資料やデータを1ヶ月分お借りして、会計ソフトに入力し、誤りがないかチェックすることになります。

1月分の取引内容をお客様がまとめ終わったら資料を借りて、月次監査を2月や3月に行うような感じです。

基本的には毎月どのお客さんも月次監査があるので、1年を通していつでもある仕事(日常業務)ですね。

給与計算

その名の通り、お客様が雇用している従業員さんの給与や賞与の計算を代行する業務です。

給与ソフトを使用しますが、入力すれば終わりではなく、労務や社会保険の知識も必要になります。

1日8時間を超えて労働したら残業代として1.25割増ししなければならないとか、昇給したら月額変更届を出さなければならないことを、お客様が知らないケースも多々あります。

こういった知識をしっかり持って、お客様に案内しながら進めるのが税理士事務所の給与計算です。

給与計算も毎月の仕事なので日常業務ではありますが、絶対に遅れてはいけないので締め切りと戦いがちな業務でもあります。

決算

会社は、1年に1回決まった月に「決算」を行う必要があります。

決算とは、決算月で会計を締めてその1年間の利益を確定させ、決算月から2ヶ月以内に法人税を申告し納付すること

先ほど述べた月次監査を毎月行い、決算月から2ヶ月後には1年分の総まとめをするようなイメージですね。

法人決算が税理士事務所でのメインの仕事と言っても過言ではありません。

法人決算は、お客様の会社の1年間の営業成績を確定させ、税金を納めてもらう大事な仕事です。

もちろん申告期限は絶対に守らなければいけません。法人決算の申告期限を守るために税理士事務所は忙しいと言ってもいいくらいです

期日までに申告できなかった場合、お客様に税法上のペナルティが課せられてしまう場合があるのです!

よって税理士事務所の忙しさを「従業員数に対して法人のお客様が何件あるか」で測ることも多々あります。

特に日本は3月決算と12月決算の会社が多いので、それらの申告期限である5月と2月はかなり忙しくなります

年末調整

お客様が雇用している従業員さんの年末調整も、税理士事務所の業務です。

経理などの事務員さんがいないため税理士に年末調整を依頼するお客様も多いので、

従業員さん1人1人の扶養チェック、生命保険控除証明書チェックなどをする必要があります。

決算はお客様ごとに決算月が違うのである程度バラけますが、年末調整はすべてのお客様に同時期に対応しなければならないので、どうしても忙しくなります。

給与支払報告書

年末調整がおわったあと、給与支払報告書を市町村に提出する業務です。

お客様の会社が、従業員さんそれぞれにいくら給与を支払ったのか証明する書類ですね。

これを提出することで、各従業員さんの翌年の住民税額が決まります。

どの会社も提出期限が1月31日なので、この期限まではたいていの事務所がてんやわんやしてると思います。

法定調書合計表

法定調書合計表は、年末調整のあとに税務署に提出する書類です。

「会社として誰にいくら給与や報酬を支払ったか」「正しく源泉徴収をしているか」を証明します。

そして、法定調書合計表の提出期限も1月31日なのです。

期限も同じですべて関連している業務なので、年末調整・給与支払報告書・法定調書合計表を「年末調整一式」として請け負っている税理士事務所も多くあります。

年末調整といいつつ、年末ではすべて終わらないのが年末調整関連業務なのです。

償却資産申告書

お客様が事業用に使っている、土地建物以外の資産(動産)を、市町村に申告する業務です。

これをもとに、市町村はお客様の会社に対し固定資産税を算出しています。

月次監査を毎月しっかりできていればそこまで負担の多い業務ではありませんが、月次監査が追い付いていないお客様だと確認に時間がかかることも。

そしてなんと、償却資産申告も期限が毎年1月31日なのです。

年末調整関連業務と償却資産申告で、1月は日常業務をあまりできずに終わることも多いんです……。

確定申告

会社は決算月を自由に設定することができますが、個人事業主は暦年、つまり1~12月で締めることが決まっています。

個人事業主が12月で締めた会計に基づき、翌年の2月16日~3月15日の間に所得税の申告・納付をするのが確定申告です。

個人事業主のお客様は、毎月の月次監査をするほどでもない場合も多く、1年分一気に監査することもあります。

すべての個人事業主の分を必ず3月15日までに終わらせなければならないので、確定申告の時期は1年で1番の繁忙期となります

年1回、確定申告の時期にしか会わないお客様もいます。

2月は、先に説明した12月決算も重なっています。

担当先に12月決算の会社が多ければ、2月のうちに確定申告はほぼできずに終わることもしばしば……

3月になった瞬間「2週間で確定申告をすべて終わらせなければならない」という地獄のような状況になったりもします。

税理士事務所で働くからには、2月~3月の忙しさは覚悟しておいた方が良いでしょう。

税理士事務所は残業が多い?

業務内容をご紹介したところで、残業についても触れたいと思います。

結論から言うと、税理士事務所では繁忙期の残業は逃れられません

先ほどもご紹介した通り、始まりと終わりの期間が決まっていて、絶対に遅れられない期限があるのが税理士事務所での仕事です。

そのため求人では「12~5月は残業あり」や「12~5月は土曜出勤あり」という文言がよく載っています。

実際に私がいた事務所も、12月後半~3月15日と5月は土曜も出勤の週6勤務でした。

その代わり、繁忙期ではない時期はほぼ残業せずに済んでいました

6~11月は日常業務のみなので、追いついていなかった月次監査を追いつかせたり、繁忙期はできなかった片づけをしたり、といった期間になります。

この期間であれば休みも取りやすく、夏の旅行やイベントごとには参加しやすいのが良いところです。

税理士事務所の忙しさは、夏と冬の差が極端だと思っていただければ間違いありません。

この繁閑の極端な差が、税理士事務所はきついと言われる大きな理由の1つでしょう。

税理士補助は未経験でもできる?

先ほどは税理士補助の業務をずらっと並べてみましたが、「難しそう……」と思った方も多いのではないでしょうか。

ここからは「税理士補助の仕事は未経験でもできるか?」に焦点を当てて解説していきます。

税理士補助は未経験でも全然問題ない

結論からいうと、未経験でも税理士補助はできます。私も未経験で入社し、5年勤めていました。

一緒に働いている税理士補助の人たちも、↓こんな感じで前職は見事にバラバラでした。

  • 保険の営業
  • スーパーなど小売店の店員
  • 歯科助手
  • 工場の作業員
  • 一般事務
  • 公務員

そして前述のとおり、税理士事務所は忙しい時期が大きく偏っています。11~5月の間は、猫の手も借りたいほど忙しいのです。

その時期までに研修が間に合うよう閑散期に人を募集していたり、時期になってやっぱり人手が足りなくて募集したりと、比較的1年中求人も見かけます

ですので、経験がないからと言ってあきらめる必要はありません。

ただし向き不向きはハッキリ分かれる仕事ではあるので、注意しましょう!

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税理士補助未経験者は日商簿記を持っておいたほうがいい

未経験でも税理士補助にはなれますが、採用の確率を上げたい場合は日商簿記を事前に取っておくことをおすすめします

なぜかというと、税理士補助にとって簿記の知識は初歩の初歩。

正直にいうと、貸方借方もわからない状態の人に簿記論から教えている余裕はありません

未経験でもせめて「高校の商業の授業でやっていた」とか、「日商簿記を勉強している」くらいの知識はあってほしいです……

求人の時点で、「日商簿記3級所持」を必須条件にしている事務所もあります。

逆に言えば、簿記を勉強してみて「まったく理解できない」とか「じんましんが出る」と言った人は、税理士補助は向いていないと思います。

未経験で税理士補助になりたいと思った方は、確認の意味でもまず簿記の勉強をしてみましょう。

税理士補助は事務経験があるほうがむしろ不利?

これは主観ですが、他の会社で事務経験のある人が税理士補助の仕事をすると、あまり長く続かない印象があります

一企業の事務をしていた人は、もといた会社のやり方に慣れています。

税理士補助になると、お客さんごとに異なるやり方をしなければならないのですが、それが受け入れられないことがあるようです。

そのため、事務経験がない人の方が税理士補助としては知識を吸収しやすいという面もあるようです。

他にも理由はいろいろありますが、こちらの記事に書いていますので、興味のある方はぜひご覧ください。

一般的に事務の求人では「未経験者は経験者にどうしても勝てない」ことが多くありますが、税理士補助はそうとは限らないと覚えておいてほしいと思います。

まとめ

いかがでしたか?

税理士補助がどんな仕事をしているか、転職を目指す方のご参考になれば幸いです。

  • 税理士事務所の仕事は11~5月が繁忙期で、残業はほぼ必須
  • 税理士補助は未経験でも転職可能!
  • 簿記を持っておいた方が良い

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